化粧品の広告を作るとき、つい「ターゲットの一番深い悩み」に対して商品を当てにいきたくなります。
でも実際の消費者行動は、それほど単純ではありません。
今回のインタビューで見えてきたのは、「一番気になっている悩み」と「実際にケアしている悩み」にはズレがあるということ。
このズレを理解せずに訴求を組み立てると、購買にはつながりにくくなります。
「一番気になる悩み」と「実際にケアする悩み」は違う
今回お話を伺った、3児の母でもある女性は、毛穴、目尻のシワ、ゴルゴライン、顔のこけ感など、複数の加齢悩みを感じていました。
その中でも、一番なんとかしたいと話していたのは「ゴルゴライン」。
けれど、実際に商品を購入したり、重点的にケアしている部分は「目尻のシワ」。
本人の中で「ゴルゴラインは化粧品では難しい。脂肪注入など美容医療の領域だと思っている」という認識がありました。
消費者は、悩みの深さだけで商品を選んでいるのではなく、その悩みは化粧品で対処できるものかという認識によって、行動するテーマを選んでいます。
これは広告設計において非常に重要。
いくら強い悩みでも、消費者が「これは化粧品でどうにもならない」と思っている領域には、商品は入り込みにくく、納得感のある情報を与えなければなりません。
近年は美容医療の情報が身近になり、消費者側にも「これはスキンケアで予防するもの」「これはもう施術の領域」という感覚が広まりつつあります。
実際、今回のインタビューでも、スキンケアは「歯磨きのようなもの」であり、シワやシミができてしまった後は美容皮膚科で処置するしかない、という捉え方が語られていました。
老化の感じ方は「たれる」だけではない
加齢悩みというと、ほうれい線やフェイスラインのもたつきなど、下がる・垂れる変化を想定しがちです。
ですが、今回の方は少し違いました。
本人が感じていたのは、顔がさがってきた・たるんできたという感覚ではなく「顔がこけてきた」という感覚。メイクをしても頬に影ができる、骨張って見える。
加齢による顔の変化には、垂れるタイプとこけるタイプがあります。
エイジング悩みをひとまとめにして「たるみ」「下がる」で表現すると、こける・影ができる・骨感が出るタイプの人には、微妙にしっくりこない可能性があります。
同じ「老けて見える」でも、本人が見ている変化は違うため、この差を言葉にできるかどうかで、共感の深さは大きく変わります。
肌悩みは、じわじわ来るものと、ある日突然見つかるものがある
もうひとつ印象的だったのは、悩みの気づき方です。
ゴルゴラインについては、なんとなく前から気になっていたのではなく、ある朝、鏡を見た時に「あれ?」と衝撃を受けて認識したと話していました。
また、顔のこけ感についても、それまでと同じようにメイクしているのに「急にここに影ができる」と感じたことがきっかけでした。
つまり肌悩みには、乾燥やハリ不足のように、じわじわ感じるものと対照的に、シミ、線、影のように、ある日突然発見してしまうものの2種類があります。
この違いは、広告の入り口を考えるうえで非常に大切です。じわじわ来る悩みは「最近なんとなく…」という共感から入れる一方で、突然気づく悩みは「ある朝、鏡を見てショックを受けた」という瞬間描写の方が刺さります。
メーカーが見るべきは「行動に昇格するかどうか」
今回のインタビューから見えてきたのは、消費者理解で重要なのは、悩みの有無以上に「行動」に繋がるかという部分。
深い悩みでも、化粧品では無理だと思われていれば購買につながりにくい。逆に、完治は望んでいなくても「少しでも進行を抑えたい」「今より悪化させたくない」と思えるテーマなら、日々のスキンケアとして選ばれる。
だからこそ、訴求設計では「消費者が何に悩んでいるか」はもちろんのこと、「その悩みを、何で解決しようとしているのか」
「どこまでを化粧品に期待しているのか」まで見なければいけません。
まとめ
消費者は、商品やサービスに期待を感じたときに行動します。
一番気になる肌の悩みと、実際に行動している肌の悩みにはズレがある。
このズレを理解することが、行動に繋がる化粧品広告に役立つのです。

